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鶴谷香央理『レミドラシソ』

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鶴谷香央理『レミドラシソ』を読む。


デビュー前後に発表された作品を収録した短編集。

ある高校の吹奏楽部の日常を描いた「吹奏楽部の白井くん」、幼児の姉妹の生活を表現豊かに描いた「おおきな台所」、調香師を父に持つ女子高生の学校での交流を描いた「ル・ネ」。


「メタモルフォーゼの縁側」のエモさが好きな人は買って読んでみてほしいです。


この作者の良さは、ちょっとぼんやりしている子と大人びた子、両方とも魅力的に嫌味なく描けてしまうところだと思いますが、本書は自身のスタイルを確立する過程がわかる構成になっています。

「ル・ネ」は収録作の中で一番最新ですが、

読後の余韻は「メタモルフォーゼの縁側」に近いものでした。

なんてないエピソードが、かけがえのないものであると読者に感じさせてくれる。

この余韻も、作者独自の魅力だと思います。