松浦理英子『最愛の子ども』
【あらすじ】
<パパ>日夏、<ママ>真汐、<王子>空穂。
女子高生三人が作り上げる疑似家族と、それを愛でる「わたしたち」。
不思議な三角関係が築き、そして壊れるまでを描く、著者4年ぶりの傑作長編。
松浦理英子さんは本当に寡作な方で、長いキャリアの割に新作がなかなか出て来なくてやきもきするのですが、いつも新しいことにチャレンジし、ハズレが一作もないという恐るべき作家です。
今回も、「わたしたち」という不特定多数の語り手が、真実か虚実かわからないエピソードを積み重ねるという変わった手法でとても読み応えがありましたし、同性愛の一言で済ませられない少女達の関係性に、心臓を搔きむしられました。
こんな奇跡のような一冊を読めるなら、いくらでも待ちますという気持ちでいっぱいです。