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本のあらすじ、感想を書き留めるブログ

近藤聡乃『A子さんの恋人』

 


主人公「A子」は漫画家。

学生の頃からつきあっていた「A太郎」に別れを切り出せないままニューヨークへ留学するが、そんな状態にも関わらず、ニューヨークでも新しく恋人(「A君」)を作ってしまう。

物語はA子がニューヨークから3年ぶりに帰国するところからスタートします。

 

A子が自身の恋愛にどうけりをつけるか?がこの漫画の主要テーマですが、なかなかこれがうまく進みません。納得のいくまで考えて結論を出さないと気がすまないのに問題を先送りにしてしまうA子の性格のせいです。

そもそもA子がニューヨークに帰国することになったのも、A君から受けたプロポーズの答えを悩んでいるうちにビザの更新を忘れていたからで、救いようがありません。

 
『A子さんの恋人』を読んで、私は「恋愛の形」は人それぞれ、多様に存在することを学びました。「優しいから」「なんとなく好きだから」「適齢期だから」「阿佐ヶ谷で一番の美人だから」「自分のことをそんなに好きじゃなさそうだから」「頭が悪そうだから」。登場人物達はいろんな理由で人を好きになります。

ある人からは欠点でしかないところも、別の人から見れば恋愛に発展する大きなポイントになり得るし、逆もありえることを、彼らは私に教えてくれます。

 
「性格が悪い」と何度も自称するA子達が繰り広げる恋愛模様はややこしい。でもそれが癖になるのです。