益田ミリ『泣き虫チエ子さん』
会社で秘書をするチエ子さんと家で靴の修理をするサクちゃんは、仲良しの夫婦。生まれも育ちも性格も違う二人は、お互いを大切に思いながら日々を過ごして──。心温まるコミック
夫婦、恋人同士で暮らしたことがある人にとってはあるあるの宝庫で、チエ子さんとサクちゃんのやりとりを追いかけるうちに自然と自分のパートナーに思いをはせ、愛しい気持ちを抱いてしまう、そんな本です。
私は独身で、結婚、子供のあるなしの話題にナーバスになるほうですが、チエ子さんとサクちゃんには子どもがいないので、その辺ストレスなく読めましたし、二人だけの世界でとても素敵な生活をしていることに希望が持てました。
無理して子供を作らなくていい。自分達が幸せならそれでいいじゃないかと、言ってもらえたような気がするのです。
益田ミリさんは、日常生活のちょっとしたシーンを切り取りながら人生を描き、読者の共感を得ることを得意とされています。
例えば食事のシーン。ラーメン屋で餃子につけるタレを作りながら、チエコさんは幸せな気持ちになります。
お酢とラー油が多めのサクちゃん
サクちゃんの好みの分量を知っているのは世界中でわたしだけなんだってチエ子さんは思ったんです
幸せってなんだろう。そう考えたとき、こういう小さな気づきの連続が、結果的に幸せなのではないかということを教えられました。