CLEAN YURU BOOK

本のあらすじ、感想を書き留めるブログ

文学

穂村弘『図書館の外は嵐』

図書館の外は嵐 穂村弘の読書日記 作者:穂村 弘 文藝春秋 Amazon 感想 穂村弘さんの本業は歌人だけれど、私は短歌の面白さがまだいまいちわからないので、穂村弘さんの本についてはエッセイばかり買ってしまう読者である。 本書は穂村弘さんの読書日記で、穂…

わかしょ文庫『うろん紀行』

うろん紀行 作者:わかしょ文庫 代わりに読む人 Amazon 感想 書評と日記、両方の側面が本書にはありました。 本書は、作品にまつわると定義した場所へ実際に赴き、作品について思考をめぐらしたことを文章にまとめています。 その場所で起きたことや見たもの…

村上春樹『騎士団長殺し』

あらすじ 感想 主人公のもとに集う女性達について 創作の考え方 謎の回収について あらすじ 妻に別れを告げられ居場所を失った肖像画家の「私」は、かつて名画家が住んでいた家に暮らすことになる。そこには「騎士団長殺し」という絵が隠されていて…。 感想 …

堀部篤史『90年代のこと』

作品について インターネットがない時代 書店員の役割について 作品について 堀部篤史さんといえば、恵文社一乗寺店の元店長で、今は誠光社という書店を営んでいらっしゃる、京都の書店員の中で一番有名な人ではないでしょうか。 『90年代のこと』は、堀部さ…

ロアルド・ダール 『マチルダは小さな大天才』

『チョコレート工場の秘密』の原作者、ロアルド・ダール 。恩田陸が「初めて作者を意識した作家」とエッセイで書かれているのを読んでずっと気になっていたので手に取りました。 この物語の主人公マチルダは、とても頭の良い女の子です。 一歳半でなめらかに…

江國香織『江國香織とっておき作品集』

江國香織の初期作品が読みたいと思い手に取りました。 特に心に残ったのは下記二作品。 香織の記録 父・江國滋氏が残した、娘・香織な誕生から6歳までを記録したもの。 週間雑誌の記者だった江國氏。娘の成長を書き留めながら、自身の環境の変化(途中でフリ…

山崎ナオコーラ『偽姉妹』

偽姉妹 (単行本) 作者: 山崎ナオコーラ 出版社/メーカー: 中央公論新社 発売日: 2018/06/07 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る あらすじ 主人公は35才のシングルマザー、正子。 正子は宝クジで3億円を当てて得たお金で建てた「屋根だけの家」で、…

桜木紫乃『砂上』

男にも金にも見放された女の前に現れたのは、 冷徹な編集者だった――。 空が色をなくした冬の北海道・江別。柊令央は、ビストロ勤務で得る数万円の月収と、元夫から振り込まれる慰謝料で細々と暮らしていた。いつか作家になりたい。そう思ってきたものの、夢…

恩田陸『訪問者』

山中にひっそりとたたずむ古い洋館―。三年前、近くの湖で不審死を遂げた実業家朝霞千沙子が建てたその館に、朝霞家の一族が集まっていた。千沙子に育てられた映画監督峠昌彦が急死したためであった。晩餐の席で昌彦の遺言が公開される。「父親が名乗り出たら…

恩田陸『猫と針』

同窓生男女5人が葬式帰りに集まった。小宴がはじまり、四方山話に花が咲くが、どこかぎこちない面々。誰かが席を外すと、残りの仲間は、憶測をめぐらし不在の人物について語り合う。やがて話題は、高校時代の不可解な事件へと及んだ…。15年前の事件の真相と…

又吉直樹『夜を乗り越える』

芸人で、芥川賞作家の又吉直樹が、少年期からこれまで読んできた数々の小説を通して、「なぜ本を読むのか」「文学の何がおもしろいのか」「人間とは何か」を考える。また、大ベストセラーとなった芥川賞受賞作『火花』の創作秘話を初公開するとともに、自ら…

恩田陸『タマゴマジック』

空から謎の卵が降り、赤い犬が宙に浮かぶ―。東北の中心・S市で起きた奇怪な出来事。 宇宙人襲来か、はたまた都市伝説か?恩田ワールドが東北で炸裂する。 仙台出身の著者が放つミステリー集 震災後の都市の苦悩を描く書き下ろし『魔術師2016』も収録。 関根…

かつくら編集部『あの頃のBLの話をしよう [BLインタビュー集]』

熱に浮かされたようにBLを書き、作り、読んでいた私たち―― ボーイズラブという言葉が生まれたあの頃。 激変する業界の渦中にあった作家・編集者が語る、それぞれのBLファーストインパクト! いまや当たりまえのように存在しているBL[ボーイズラブ]というジャ…

山崎ナオコーラ『ネンレイズム/開かれた食器棚』

“おばあさん”になりたい、自称68歳の村崎さん、未来でなく“今”を生きたい紫さん、“徐々に”年をとりたいスカート男子・加藤くん。町の公民館の「編み物クラブ」に通う未来は未定!高校3年生の冬ものがたり。 「ネンレイズム」は年齢、「開かれた食器棚」は出産…

山崎ナオコーラ『ボーイミーツガールの極端なもの』

管理栄養士を目指す大学生は野球選手との結婚に憧れ、 子育てを終えた中年の女性がファッションデザイナーと巡り合う。 引きこもりニートは松田聖子に恋慕し、 その弟は誰に対しても自分から「さようなら」を切り出せず、 兄弟の父親は妻と再会する。 人と接…

山崎ナオコーラ『かわいい夫』

日々の暮らし。父との死別。流産。ふたたびの妊娠。 さまざまな出来事をとおして、 浮かび上がってくる、あたらしい結婚の形。 変化していく、作家のこころ。 毎日、少しずつ読みたくなる、結婚エッセイ集。 装画、みつはしちかこ。 本書には、西日本新聞に…

春見朔子『そういう生き物』

千景とまゆ子。高校の同級生である二人は、10年ぶりに偶然再会し、思いがけず一緒に暮らし始める。 薬剤師の千景は、とある男との逢瀬を重ねながらも、定年退職した大学の恩師「先生」に心を寄せている。 叔母のスナックでアルバイトをするまゆ子は、突然家…

チママンダ・ンゴズィ・アディーチェ『男も女もフェミニストでなきゃ』

わたしはハッピー・フェミニスト! ビヨンセを始め全米が称賛したTEDスピーチ、待望の邦訳! ディオールのパリコレでも同名ロゴTシャツが登場、話題沸騰中。 あたらしいジェンダーについて最適の1冊(Amazonより) TEDxEustonというプレゼンイベントで行われた、…

高原英里『不機嫌な姫とブルックナー団』

天才作曲家にして非モテの元祖・ブルックナーを偏愛するオタク3人組との出会いが、夢を諦めた文系女子の運命を変える? ままならない人生に心ふさぐ人々へ、エールを送る異才の書下ろし快作! 小川洋子氏、穂村弘氏推薦。 高原英里『不機嫌な姫とブルックナー…

住野よる『君の膵臓をたべたい』

偶然、僕が病院で拾った1冊の文庫本。タイトルは「共病文庫」。 それはクラスメイトである山内桜良が綴っていた、秘密の日記帳だった。 そこには、彼女の余命が膵臓の病気により、もういくばくもないと書かれていて――。 病を患う彼女にさえ、平等につきつけ…

『リアルプリンセス』

古今東西に伝わるさまざまなプリンセス・ストーリーを、現代に置き換えたとしたら、どんな物語になるのでしょうか? 人気の女性作家六人が、それぞれが選んだ題材をもとに物語を書き下ろすアンソロジー集。女性ならではの優しさあり、はたまたぴりりとする毒…

山崎ナオコーラ『指先からソーダ』

けん玉が上手かったあいつとの別れ、27歳の誕生日に自腹で食べた高級寿司……朝日新聞の連載で話題になったエッセイを中心に、しゅわっとはじける言葉たちがつまった、爽快で痛快な著者初のエッセイ集。 (Amazonより) デビューしてから約4年間に書きためられた…

サンテグジュペリ『星の王子さま』

沙漠の真っ只中に不時着した飛行士の前に、不思議な金髪の少年が現れ「ヒツジの絵を描いて…」とねだる。少年の話から彼の存在の神秘が次第に明らかになる。バラの花との諍いから住んでいた小惑星を去った王子さまはいくつもの星を巡った後、地球に降り立った…

マーヤ・ヴァン・ウァーグネン『マーヤの自分改造計画』

学校ではどこで誰と過ごすか、または過ごさないかで属すグループが決まる。 あたしは生徒のなかでは最下層、目立たないグループに分類されてる。 自分より階層が上の誰かに餌食にされないかぎりは…。ある日、パパが古本屋で『ティーンのための人気者ガイドブ…

石田衣良『1ポンドの悲しみ』

数百キロ離れて暮らすカップル。久しぶりに再会したふたりは、お互いの存在を確かめ合うように幸せな時間を過ごす。しかしその後には、胸の奥をえぐり取られるような悲しみが待っていた―(表題作)。16歳の年の差に悩む夫婦、禁断の恋に揺れる女性、自分が幸せ…

島本理生『わたしたちは銀のフォークと薬を手にして』

特別じゃないわたしたちの、特別な日常 『ナラタージュ』『Red』の著者が描く、新たな恋愛小説。 「どこへ行きましょうか」 「どこへ行くか」 30歳の私は、あの日、夕方の春の海辺で、どこへ行けるか分からない恋を始めた。限られた時間の中にいる男女の行く…

米澤穂信『春期限定いちごタルト事件』

小市民を目指す小鳩君と小山内さんのコミカル探偵物語 小鳩くんと小佐内さんは、恋愛関係にも依存関係にもないが互恵関係にある高校1年生。きょうも2人は手に手を取って清く慎ましい小市民を目指す。それなのに2人の前には頻繁に奇妙な謎が現れる。消えた…

川上未映子×穂村弘『たましいのふたりごと』

作家・詩人として日本文学の最前線を疾走する川上未映子と当代一の人気歌人・穂村弘が、人生のワンダーを求めて、恋愛・創作・生活等々を縦横無尽に語りつくす! (Amazonより) この本を読む直前に、川上未映子の、村上春樹へのインタビュー集を読んでいて、な…

スティーブン・チョボスキー『ウォール・フラワー』

【あらすじ】 チャーリーは15歳。美人な姉と、フットボール選手の兄とはそれなりに仲がいい。高校で知り合ったパトリックとサムは初めて心から愛した親友だった…。 大人も子供も傷つき、傷つけながら人生を生きる。最高にクールな青春小説。 アメリカの10代…

三浦しをん『本屋さんで待ちあわせ』

【内容】 1日の大半を本や漫画を読んで過ごしている作者の、新聞や雑誌で掲載された文章をまとめた書評集。 本が好きで好きで仕方がないんだろうな、と思う前のめりな文章。あらすじや話の構造にせまるというよりも、どれだけその本が自分の心を揺さぶったか…