20代OLが読書感想を書き留めるブログ

本のあらすじ、感想を書き留めるブログ

雑記:読書垢をこじらせた話①

はじめに

私がTwitterで読書感想をつぶやくアカウント、通称「読書垢」をやり始めて1年と3カ月が過ぎようとしています。
Twitter上には同じようなアカウントを持っている人達がたくさんいて、フォローしたりされたりしながらごく少数ですがやりとりもさせていただき始めてよかったなと思いますし、これからも細々と続けていくつもりです。
ただ、もちろん人間同士のやりとりなので常にご機嫌というわけにはいかず、時にはモヤっとした気持ちを抱くこともあり「これはどういうことだろう」「この人はなぜこんな呟きをしちゃうんだろう」と悩むこともしょっちゅうでした。
この文章は、こじらせすぎた自分の気持ちを一度整理したくて書いたものです。

 

読書垢を始めた理由(本の話を聞いてくれる人がいない。)

活字離れという言葉があるくらいだから、本を読む人が少数派ということは周知の通りだと思います。例えば40人の教室の中で、図書室の本を毎日のように借りて読む子がいたとしても、クラスに1人か2人が妥当ではないでしょうか。

私の周囲(主に仕事場の人達)にも、読書を趣味としている人はあまりいませんし、なんとなくですが、例え好きでも言ってはいけない雰囲気を感じるのです。
恩田陸の『三月は深き紅の淵を』という小説の中に、とても共感できる文章があります。主人公は本好きであるがゆえに会社の会長の家に招待され、ある謎解きの依頼を受けるのですが、そこに集まった人達がみんな個性的な本読みなんです。

 

「だいたいですね、僕はここでこうして本の話してますけど、今の若者世代じゃ本の話なんてタブーに近いですよ。読んでても、恥ずかしくて、読書してますなんて言えない。『お前試験勉強してるか?』『全然だよ』っていうのと同じです」(p.95、96)

 

「日本の社会自体、本読む人間には冷たいんですよ。本読むのって孤独な行為だし、時間もかかるでしょ。日本の社会は忙しいし、つきあいもあるし、まともに仕事してるサラリーマンがゆっくり本読む時間なんてほとんどないじゃないですか。本なんて読ませたくないんだな、って気がする。』(p.96)

 

まさにこんな感じ。私が日常生活のなかで本の話をすることはほとんどありません。
ただ、同じように本が好きな人と友達になったり感想を伝えあったりしたいという思いはずっとあったので、読書垢はちょうどいいツールだと思いアカウントを作ることにしました。

 

アカウントを始めて驚いたこと①みんなブックオフで本買うことを隠さないね。

年齢を暴露すると私は今アラサーです。読書垢のメインの年齢層は中学生から20代前半なので、必然的に自分より年下の人達のツイートを眺めることになります。

若い子達のキラキラしたツイート(主に学校生活や自撮り写真.)には眩しすぎて慄くこともありますが、普段関わりのない年齢層の生活をのぞくのは楽しいです。
ただちょっと、ツイートを読んでモヤモヤすることもありました。それは「ブックオフで〜を買った」「図書館で〜を借りて読んだ」という言い回しのツイートがとても多いということ。
間違えないで欲しいのは、ブックオフで本を買うこと、図書館で本を借りることを非難したいわけではありません。本を新品で買うべきかについては私も思うところがありますが、とても根が深い問題だと思いますし、今の私には手におえないので今回は割愛します。ここで言いたいのは、「どこで入手したかをわざわざTwitterで発信する必要なくないか?」ということです。
今、全世界の人がTwitterをやっています。私の友達、同僚もやってますし、芸能人や企業、そして小説家の人もアカウントを持っている。
私はよく読んだ本の感想をツイートしますが、基本的には出版社や本の題名も明記するので、ごくたまに関係者(出版社アカウント、作者本人)にリツイートされます。彼らが定期的にエゴサーチしていることは想像に難くありません。
もし彼らが「ブックオフ〜」のツイートを見てしまったら…ということを考えると、いつもハラハラします。私が小説家なら、心身削って書いた作品の反響を知りたくて検索したのに安く手に入れて喜んでいる読者がいたら複雑な気持ちになるから。読んでくれてありがたいしとても嬉しい。でも、入手経路は知りたくなかったと思うだろうから。

 

でもね、「ブックオフ〜」のツイートをしてしまう気持ちも理解できるんです。

本は高い。定価だと文庫本でも500円以上とか普通にするし、海外文学のハードカバーなら2000円、3000円が当たり前で、なんならそのお金で一回飲みに行けちゃいます。

さらに言うと服や化粧品と違って、基本的に新刊書店はセールを行いません。

 例えば、本を年に100冊読む人がいるとする。好きな作家は売れっ子で、新刊もコンスタントに出す人だけれど、バイト代やお小遣いではどうしてもハードカバーに手を出せない。しょうがないから近所の図書館で予約したら50人待ちで、1年以上待たないといけない。貸し出しを待つ間、他の本を読みたいけどやはりお金がない。そんな時に何気なく入ったブックオフで、大好きな作家の未読の小説が108円で売られていた。しかも10冊も!

そんなシチュエーションなら、私もツイートしてしまうかもしれません…。

 

三月は深き紅の淵を (講談社文庫)

三月は深き紅の淵を (講談社文庫)

 

 続きはまた今度書きます…。

 

春見朔子『そういう生き物』

千景とまゆ子。高校の同級生である二人は、10年ぶりに偶然再会し、思いがけず一緒に暮らし始める。
薬剤師の千景は、とある男との逢瀬を重ねながらも、定年退職した大学の恩師「先生」に心を寄せている。
叔母のスナックでアルバイトをするまゆ子は、突然家に尋ねてきた「先生」の孫とカタツムリの飼育を巡り交流を深めつつ、千景をそっと見守る。
すれ違いの生活ながら、長く離れていた二人の距離は徐々に縮まっていく。そんな中、高校時代の友人の結婚式が近づき、二人はかつての自分たちの深い関係と秘密とに改めて向き合うことになる。そして……?
一番近くにいるのに、わかり合えない二人。なのにもかかわらず、寄り添う二人。
愛と性、心と体の狭間で揺れ動く孤独な心象風景を、瑞々しい文体で描き出す、第40回すばる文学賞受賞作。

 

10年ぶりの再会からなぜか一緒に暮らすことになってしまった千景とまゆ子。読み進めていくと、高校生の頃に二人がつきあっていたと思わせる言葉が並び、読者を戸惑わせ、終盤には想像もしていなかった場所へ連れて行ってくれる。デビュー作にして傑作。

 

エピソードの一つ一つがこのタイトルのためにあるように思えてならない。人間という個体に生まれてしまった以上嫌でも性別を持たなければならないことや、大好きなのに性愛に結びつかないまま相手を傷つけてしまうことのままならなさ、生きづらさを突きつけられたような。

 

 

性的マイノリティーを題材にした作品がここ2、3年で増えている印象ですが、LGBTQの単語でくくるのもどうなんでしょうね。世の中が推奨する恋愛にも、LGBTQにも該当しない、境界や制約を排除した触れ合いを描いた作品がもっと書かれるべきだと思いますし、本作はその条件を満たしています。

 

そういう生き物

そういう生き物

 

 

 

チママンダ・ンゴズィ・アディーチェ『男も女もフェミニストでなきゃ』

わたしはハッピー・フェミニスト!
ビヨンセを始め全米が称賛したTEDスピーチ、待望の邦訳!
ディオールのパリコレでも同名ロゴTシャツが登場、話題沸騰中。
あたらしいジェンダーについて最適の1冊(Amazonより)

 

TEDxEustonというプレゼンイベントで行われた、ナイジェリア作家によるトークをまとめた本。フェミニズムという考え方の入り口に最適だとおもいます。
西加奈子さんの帯も素敵です。

 

あらゆるボーダーを越えて皆の心にするりと入り込み、皆を心から笑わせ、
くつろがせ、でも絶対に革新となる言葉を逃さず、
皆に「心から考える」ことを促すことができる彼女に、私は10代の少女みたいに夢中になった。

(本書帯より引用)

 

この本についてまずツイッターでツイートしたのですが、結構勇気が必要でした。「フェミニスト」という言葉は、一部の人には攻撃的に感じるみたいで、フォロワーさんが減ったり、ミュートされたりするかもなあ、と思ったのが正直な気持ちですが、素晴らしい本なので紹介させてもらいました。

 

ここ数年、アメリカやイギリスの若者のトレンドになりつつあるフェミニズムという考え方が、日本では特に忌避されている問題については、いろいろ思うところがあるけれど、まずみんなにこの本を読んで欲しい。男の人も女の人も、性別にとらわれたくない人も、全員が悩んでいることの1つの答えが書いてあるはずだから。

 

作者は、全員がハッピーになるために考える力を私達に見せてくれます。

 

男も女もみんなフェミニストでなきゃ

男も女もみんなフェミニストでなきゃ

 

 



高原英里『不機嫌姫とブルックナー団』

天才作曲家にして非モテの元祖・ブルックナーを偏愛するオタク3人組との出会いが、夢を諦めた文系女子の運命を変える?
ままならない人生に心ふさぐ人々へ、エールを送る異才の書下ろし快作!
小川洋子氏、穂村弘氏推薦。

 

高原英里『不機嫌な姫とブルックナー団』(講談社)読了。
19世紀を代表する作曲家ブルックナーが好きな主人公は、コンサート会場で同じくブルックナー好き(ブルオタ)の3人に声をかけられる。ブルックナー団を自称するメンバーのうちの一人がファンサイトに公開しているブルックナーの自伝的小説を読むうち、その作品世界にいつの間にかのめり込んでいく、というお話。

ブルックナーという作曲家を私は知らなかったのですが、この小説を読んで大好きになりました。愚かで間抜け、創作意欲と才能はあるのに何かと馬鹿にされ、女にはモテず、社交場での空気も読めず演奏家には楽譜どおりに弾いて貰えないブルックナー。かわいそうだけど、やっぱり馬鹿だったのかなあと思わざるを得ないエピソードが満載で、終始笑えました。

また、ブルックナーの小説を読むうち、主人公がかつて諦めてしまった自分の夢を思い出す流れは、自分自身身に覚えのある気持ちなので、グッときました。
たとえ格好悪くても、創作をあきらめない人間はそれだけで魅力的だということを教えてくれる、とても良い作品です。

 

難を言えば、ページ数が200ページ弱ととても短く若干物足りなさを感じたこと。
作者に書く気がなかったと言われればそれまでだけど、もっと主人公とブルックナー団の掛け合いを読んでいたかった。

 

 

不機嫌な姫とブルックナー団

不機嫌な姫とブルックナー団

 

 

 

住野よる『君の膵臓をたべたい』

偶然、僕が病院で拾った1冊の文庫本。タイトルは「共病文庫」。
それはクラスメイトである山内桜良が綴っていた、秘密の日記帳だった。
そこには、彼女の余命が膵臓の病気により、もういくばくもないと書かれていて――。

病を患う彼女にさえ、平等につきつけられる残酷な現実。
【名前のない僕】と【日常のない彼女】が紡ぐ、終わりから始まる物語。
全ての予想を裏切る結末まで、一気読み必至!

(Amazonより)

 

膵臓の病気にかかりもうすぐ死んでしまう女の子と、本ばかり読んで友達のいない「僕」との泣ける青春小説。
住野よるさん初めてでしたが、文章、キャラクター造形ともに軽快で若い方にうけるのも頷けました。

 

人が亡くなることで感動させるという手法は今までいろんな作家が挑戦していて、私も思うところがありますが、ここまでストレートだと清々しいし、泣けたといえば泣けました。ただ、個人的には「君の名は」と同じで、あと10年早く読めたらもっと感動できたのになあ。

 

ちょっと驚いたのが、ストーリーにミステリ要素が入っていたこと。伏線があちこちに貼られていて、「これってどういうこと?」と考えながら読めるので、ページをめくらせる力がとても強い。良い意味で期待を裏切られました。

 

難をいえば、文章が読みにくいのと、荒削りすぎること。作者はライトノベルしか読んでないのでは、と感じたし、もうすこし自分の書いた文章を読み返したほうがいいかもしれませんね。

 

 

君の膵臓をたべたい (双葉文庫)

君の膵臓をたべたい (双葉文庫)

 

 



 

『リアルプリンセス』

古今東西に伝わるさまざまなプリンセス・ストーリーを、現代に置き換えたとしたら、どんな物語になるのでしょうか? 人気の女性作家六人が、それぞれが選んだ題材をもとに物語を書き下ろすアンソロジー集。女性ならではの優しさあり、はたまたぴりりとする毒もあり、個性豊かで小気味良い物語が集まりました。

寺地はるな×鉢かづき
飛鳥井千砂×踊る12人のお姫様
島本理生×ラプンツェル
加藤千恵×エンドウ豆の上に寝たお姫様
藤岡陽子×乙姫
大山淳子×眠り姫

(Amazonより)

 

 

6人の作家による、既存のプリンセス・ストーリーをベースにした短編集。この本のポイントは、元のお話を作家がどう料理したかにかかってるので、ある程度予備知識を持ってから読んだほうが、2倍3倍楽しめます。

 

個人的には「鉢かづき姫」から着想を得た、寺地はるなさんの「鍋かぶり」が一番好きでした。うさんくさいカリスマ助産師に頭から鍋をかぶるように促され、はずれないまま大人になり鍋かぶりと呼ばれるようになった主人公が、素敵な旦那様を見つけるまでの過程を婚活コンサルのスピーチで語るという。

ぶっ飛んだ展開にみえて、既存のお話をベースにしっかり据えてあるのがわかるし、随所で笑えました。初めて読んだ作家さんでしたが、出会えてよかったです。

 

 

リアルプリンセス

リアルプリンセス

 

 

 

山崎ナオコーラ『指先からソーダ』

けん玉が上手かったあいつとの別れ、27歳の誕生日に自腹で食べた高級寿司……朝日新聞の連載で話題になったエッセイを中心に、しゅわっとはじける言葉たちがつまった、爽快で痛快な著者初のエッセイ集。

(Amazonより)

 

 

デビューしてから約4年間に書きためられたエッセイを収録した本。作家としてのやる気、喜びに満ちていて、何度読んでもグッとくる。
ナオコーラさんの文章には嘘がなくて、初期の作品に対しては特にそう感じるのです。

 

またタイミングが良いのか、最近よく目にする小島信夫さんの書評をここでも見つけて、読みたいという気持ちを新たにしました。

 

 

指先からソーダ (河出文庫)

指先からソーダ (河出文庫)